不謹慎ラブソング

夜中に、あの歌で目が覚めた。


飛び起きて辺りを見渡した私は、やがて兄と目が合ったのだった。


一瞬、思考が停止した。


暗がりの中、兄はそっと唇を閉じて、私を凝視した。


「…あの歌って、お兄ちゃんが歌っていたの?」


兄は、しばらく黙っていたが、やがて微かな物音をたててベッドに入ってしまった。
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