たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
そんな惟の表情をじっとみつめた慎一は、その場の雰囲気を変えようと思ったのだろう。わざと別の話を始めている。



「それはそうと、竹原を迎えに行かせているから、もう少ししたら帰ってくるよ。当然、会ってくれるよね」


「慎一さん、その質問って愚問じゃないですか? 僕が今日、ここに来ているのはそれが目的なんですし」


「だよね。だったら、いつまでもそんな顔をしない。変わったと思ったけど、君自身の本質って変わってないのかな? 久しぶりに会った時は雰囲気が変わったと思ってたけど、さっきの顔は昔のままの君だしね」



慎一のそんな声に、惟は返事をしようとはしない。ただ、紅茶のカップに口をつけているだけ。そこからは、先ほどまでの不機嫌な様子はうかがうことができない。それを見た慎一は安心したように声をかける。



「その顔なら大丈夫だね。あ、帰ってきたみたいだ。ここにすぐ来るように言っているから制服のままだけど、気にしないよね?」


「慎一さん、制服って学生の正装ですよ。気にするはずがないでしょう。それに、僕としてはちょっとでも早く会いたいですし」


「ずいぶんと乗り気になっていてくれているようだね。そういう点では本当に感謝するよ」



先ほどまでのどこか居心地の悪い空気はあとかたもなくなっている。そうやって穏やかに二人が話している時、邸内にざわついた空気が流れ始めていた。

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