たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
そんな時、コーヒーの香りが漂ってきたかと思うと、カチャカチャとコップの触れあう音がする。それと同時に「コーヒーをお持ちいたしました」というどこか引きつった声。それを耳にした惟は、「ありがとう」と告げると亜紀たちを部屋の中へと導いている。

もっとも、いまだに彼女を抱きしめる腕は緩んでいない。そのことにも気がついた惟が相手のことを鋭く睨んでいる。



「アンジー、聞こえなかった? 亜紀ちゃん、困っているでしょう。まだ僕の見ているところだから辛抱するけど、勝手にこんなことしたらいくら君でも許さないよ?」


「分かってるって、惟。でも、君はそう言うけど、やっと、僕もミューズに会えたんだよ? これくらい、許してくれてもいいと思うけどな」



その声に惟はやれやれという表情を浮かべている。それでも、「コーヒー、冷めるよ」とさり気なく告げることも忘れていない。その声に含まれている響きに、相手は何かを感じたのだろう。ようやく、亜紀を解放すると改めて彼女の前に立っている。その姿にようやく満足したような表情をみせた惟は、亜紀をグイッと引き寄せていた。



「亜紀ちゃん、ビックリさせたよね。でも、彼には悪気はないから。今までの習慣が抜けないっていうのかな? ここは日本だっていつも言っているんだけどね」


「大丈夫です……ちょっと、ビックリはしましたけど……でも、お兄ちゃんと初めて会った時もこんな感じだったから。でも、この人は外国人だし、お兄ちゃんにされたより納得できます」



亜紀のその声に惟は「拓実君は……」と呆れたような声を出す。それでも、このままではいけないということも分かっているのだろう。改めて相手のことを紹介する。

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