【番外編】ロマンティックに抱きしめて。~ドキドキを貴方へ~

途端に込み上げる恥ずかしさ。



「しゅ、俊也さん!ち…近いよっ!」



小声で訴えるも、”だから?”とでも言いたげなその表情は、もしかして…わざとだったりする?

どこに視点を置いていいか分からずキョロキョロとそれを探していると、フフと笑う彼の声が耳に届いた。



「…ほんと、くみは嘘が下手だね。」

「なっ!?」



パクパクと動く口と瞬きを繰り返す私を見て更に声を上げて笑う先生。
恥ずかしさの中に悔しさも少しだけ感じるはずなのに。

何故か私の鼓動は止まらなくて…。

一通り笑い終えた後、ポンポンとその温かい手が私の頭を撫でた。



「ごめん、ごめん。その困ってる顔が可愛くてつい…。ごめんな。」



ドキッ…。


ニカッとまるで悪戯っ子のような笑顔。

その笑顔さえ、私をドキドキさせる為の手段なんじゃないかって…そう思うのに。

いつまでたってもそれに慣れない私は、変なのかな?


ボーッとする思考回路の中、そんな目の前の人物から視線を逸らせない私。

そんな私を見て、また先生がフフッと微笑んだ。



「…頼むから。今はそんな顔しないでくれよ。」

「…へっ!?」



そ…そんな顔って…。

…どんな顔してたの?私…。

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