御劔 光の風3
一番最初に位置した場所、その場に座りこんだまま貴未は俯き千羅から表情は見えなかった。

「じゃあ永は…。」

「おそらく貴未が考えている場所にいる。」

貴未が顔をゆっくりと上げる。

怒りだろうか、無表情に近い顔を見せていた。

「貴未、もうすぐカルサが戻って来る。」

千羅の言葉に貴未は視線だけを送り反応した。

間もなく扉の開く音が聞こえ、それと同時に千羅が張っていた結界が消える。

足音が近付くにつれて高まる妙な緊張感、一触即発しかねない張りつめた空気がその部屋を支配していた。

そして書斎の扉が開く。

「皇子。」

姿が見え彼を呼んだのは千羅だった。

肩には光の精霊、桂を乗せている。

そして傍らにはいつものようにラファルがいた。

「その竜が光の精霊ですか?」

「ああ、桂だ。」

千羅に答えた後、カルサは貴未の方を向いた。

睨むような表情だが貴未の目線はカルサの足元辺りに落ちている。

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