御劔 光の風3
話す内容が理解出来ずにマチェリラは瞬きを重ねる、いや、理解は出来ているがそれが何を意味しているか繋がらないのだ。

「所詮…俺は玲蘭華の仕掛けから逃れられない、歯車として常に操られている訳だ。」

自嘲し口角をあげるカルサに違和感を覚えたマチェリラは、決して愚痴のような軽い話ではないのだと予感した。

マチェリラに嘘が通じないことはカルサも知っている。

「…詳しく話して。」

聞くことにも覚悟が要りそうだとマチェリラは息を飲んだ。

カルサはゆっくり瞬きをすると窓の向こうの景色を目に映した。

今の自分はこの国を治める王だと胸の内で確かめる。

「今の俺はこのシードゥルサ国を治める王、カルサ・トルナスだ。」

時が流れた今では光の神、雷神と呼ばれている位置付けにもいる。

そう続けるとカルサの話が始まった。

彼の話が終わりを告げる頃、カルサの私室でも千羅の話が終わろうとしていた。

「それがカルサが背負ったものだ。」

話の締め括りを千羅が口にする。

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