御劔 光の風3
「流石です。」

そう呟くと力の放出を解き、リュナの長い髪はふわりと舞いながら重力に従って下りた。

倒れる兵士たちの中、唯一片膝付ながらも耐えていたのはタルッシュ一人だったのだ。

「はあっ…はあっ…。」

静まり返った訓練場にタルッシュの呼吸音が響く。

剣で身体を支えながらも、輝きを失わないその目はリュナに立ち向かっていた。

「毎回思うんやけど…割にスパルタやんな、自分。」

「ホント。結構激しいのね~リュナちゃんは。」

背後から聞こえた緩やかな口調にリュナは勢いよく振り返った。

そこには腕を組んでリュナの訓練の様子を眺める聖と貴未がいる、どうやらずっと見られていたらしい。

「貴未…いつからそこに?」

「ちょい前。しかし皆上達してるな~って生きてるかー?」

リュナに吹き飛ばされ倒れたままの兵士たちに貴未は独特の緩やかなな口調で投げかける。

よろよろと身体に力が入らない様子だが、なんとか全員が立ち上がった。

その根性に素直に感心して上から目線と分かっていても貴未は拍手で彼らを称えた。

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