御劔 光の風3
足下に視線を落としても空へと逃げても思い出されるのは一つのことだ。

「運命と言ってしまえばそうなんだろうな。俺たちの歯車はどんなに姿形を変えたとしても行き着く先は結局同じだ。」

カルサの脳裏に刻まれた懐かしい記憶が浮かび上がる。

どれだけ逆らってみても、どれだけもがいてみても結局は抜け出せなかった運命の歯車を欠けさせることも出来なかった。

恨んだことも呪ったことも今では通り過ぎた懐かしい感情だ。

受け入れたつもりは無いが、いつか運命が重なり合うその瞬間にかけることに決めたのだ。

感情が揺らぐことも多いがその思いは一筋のものとして自分の腹の中に据えていた。

あの時から。

「歯車に関しての苦情は…それこそ玲蘭華にお願いします。彼女はカリオ出身ですから。」

「そうだな。」

「しかし…妙なことに玲蘭華はあの事件の前に罪を犯しているんですよ。」

顎に手を当てて視線を上げたテスラが意味深な言葉をこぼしてカルサは彼の方を見た。

それは全てを見通している筈のテスラにしては珍しい表情だ。

テスラにも分からないこと、知りきれていないことが玲蘭華にはある。

しかも内容が内容なだけにそれはカルサの興味を強く惹きつけた。

「罪?」

「ええ。玲蘭華は禁じられたもの…母国カリオに信号を送り無断で水鏡の見を行っているんです。」

カルサの時間がとまる。

全ての音が無くなった一瞬、体中の細胞がざわめき始めた。

今、何て言った?

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