御劔 光の風3
さりげない会話の中に未だ見たことの無い扉が開かれカルサは首を横に振る。

「無断で水鏡の見を?」

それを言葉にした時点で頭の中のパズルは確実にはまっていった。

もしそうだとしたら納得がいく話が多い。

聖も紅も、そして日向があの世界にいた理由も玲蘭華がカリオと組んでいたのなら頷ける話だ。

貴未と永の存在が狙われた理由でさえも、もしそうなのだとしたら。

「貴方には伝わっていませんでしたか。戴冠の儀の後に玲蘭華は審議にかけられる予定だったんですよ。そして水の儀式をライムが終えていた理由も彼女が…。」

太古の記憶が次から次へと急激に押し寄せて甦る。

あまりの情報量、感情の波にカルサは頭を抱えて視線を忙しく泳がせた。

全てはあの事件が起こる前から計画されていたものだったのか。

全ては玲蘭華の思うままに繰り広げられた惨事なのだとしたら。

「ヴィアルアイのことも…全て仕組まれたことだったのか?」

口にするだけで身の毛もよだつ恐怖に襲われた。

まさか、まさか、それだけはどうしても認めたくない自分がいる。

カルサの気持ちを汲んだのかテスラはカルサの肩を掴んで強引に自分の方を向かせた。

そしてしっかりと目を合わせた後にゆっくり首を横に振る。

「それは違うと、私は思いますよ。」

「テスラ…しかし。」

「きっと多くの人が同じ気持ちな筈です。彼女に限って…あの二人に限ってそれは有り得ません。」

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