ツンデレくんをくれ!
「中出はさ」


そんな自分を悟られたくなくて慌てて口を開く。


「兄弟は?」

「妹二人」

「え、お兄ちゃんなんだ」

「何その、言い方」

「なんとなく、一人っ子のイメージがあったから」

「そしたら、こんなに部屋いらねーじゃん。ここ、3LDKだから」

「へーすごい。妹達も一部屋ずつ?」

「まさか。まだ小学生だし二人で一部屋」

「え、え? 妹達何個下?」

「10個下の双子」

「小三!? てか、双子!?」

「ん」


へえー……。


なんだか意外だ。


中出に妹、ねえ…………。


「似てるの?」

「全然」

「うん、だろうね」

「失礼じゃね?」

「いや、似てたら妹達がかわいそうだもん」


細い目で無愛想とか、妹達泣くぞ。


でも、妹達には優しそう。


10個も下だから、可愛がっているところが想像できる。


「奈子さんは?」

「ん?」

「兄弟」

「二個下と三個下と五個下にそれぞれ妹、妹、弟がいる」

「大所帯……」

「まあ、みんな大きくなったからもう静かだけど、小さい頃はすごかったよ。もはや一家で騒音レベル」

「すげえ」

「妹二人が特にすごかった。一つしか年離れてないから、毎日取っ組み合いの喧嘩してたもん」

「で、それに奈子さんも混ざってたんやろ?」

「あほか。ちゃんと止めに入ってたわ」

「嘘や。妹達と三人で喧嘩してる方が想像できるんやけど」

「おいこら、お前何想像してんの」


くくっと口を手で押さえながら声を漏らして中出が笑った。


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