凪とスウェル
「まぁ、いいや。

そんなに言うなら、聞いておいてやる。

番号教えろよ」


「何?その上からなモノの言い方。

アンタになんか絶対教えない」


「いいから教えろって。

俺、記憶力がいいんだ。

一発で覚えてやるからさ」


得意げな顔をして笑う隆治をホンマかいなと疑いつつ、あたしは自分の携帯の番号を少し早口で言ってやった。


「覚えた?」


「覚えた」


「じゃあ言ってみて」


「言わねーよ」


「ふんっ。どうせ覚えてないんでしょ?」


「お前、言ったな!

覚えとけ。

あとでかけてやる。

それなら信じるか?」


「それなら信じるわよ。絶対かけてよ?」


「わかった」


あたし達はそんなことばかり言い合いながら、バイクに乗り込んだのだった。
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