凪とスウェル
小さなテーブルに向い合わせに座るあたしと隆治。


あたしがテーブルの上にグラスを置くと、隆治がジュースを注いでくれた。


「…で、どうしようか?」


「あ?」


「何の科目からする?」


「何でもいい」


「何でもいいって…。

うーん。じゃあ英語にする?」


「うん…」


あたしはカバンから教科書とノートを取り出した。


「俺さ、試験勉強ってどこからどうやっていいのか、さっぱりわかんねーんだよなー。

一応やるにはやるんだけど、全然頭に入って来ねぇし」


隆治はあぐらをかいて、膝の上で頬杖をついている。


「なるほどね。

んーまぁでも、ポイントさえ絞ってればいいのよ」


「ポイントって?」


「試験に出そうなところだけ、覚えてればいいってこと」


「お前、出そうなとこがわかるのかよ?」


「ま、まぁねぇ…」


「へぇぇ」


目を丸くする隆治。


そ、そんなに感心しないでもらいたいんだけど。
< 153 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop