凪とスウェル
苦しそうに頭を抱える右京君にあたしも苦しくなっていた。


全てはその雪の日に。


運命が分かれてしまったんだね…。


「なぁ…」


「ん?」


「お前…、

隆治のこと。

今どう思ってる…?」


右京君の問いに心臓が跳ね上がって、身動きが取れなくなった。


「嘘はつかないでくれ。

せめてお前くらい、本当のことを言って欲しい…」


せつなそうに呟く右京君に、あたしはゆっくり視線を向けた。


右京君の瞳は涙の膜が張っていて、それがキラキラしてやけに綺麗だった。


「今も、好きか…?」


これをどう答えていいのか。


正直よくわからなかったけれど。


右京君に嘘をついてはいけない気がして。


あたしはコクリ。



頷いてしまった。
< 525 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop