凪とスウェル
「ごめん。

本当にごめんな。

謝ったってどうしようもないけど。

でも、本当にごめん…」


深く頭を下げる右京君に、あたしはやめてと言った。


「右京君、もういいよ。

これがあたしと隆治の運命だったんだから。

右京君のせいじゃないよ…」


結ばれない運命だった。


ただ、それだけのこと…。


「でも、お互い好きなのに…」


そう言われると、胸が痛くなる。


あんなつらそうにあたしを呼んだ、隆治の寝顔を思い出して…。


「その携帯はさ。

お前が隆治に届けろ」


「え…」


「アイツの話、聞いてやってくれよ。

誰にも言えなかったこと。

ずっと胸の内に秘めてきたこと。

聞いてやれるのは、お前しかいないだろう…?」
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