凪とスウェル
その日の夜中だよ。


すずに電話したのは。


どうしようもなく寂しくて、苦しくて。


すずの声がどうしても聞きたかった。


今すぐにでも会いたくて。


だから、何度も会いたいって言ったんだ。


あと数日で会えることは、充分わかってたけど。


今すぐ俺を抱きしめて欲しかった。


義父の言葉が思い出されて。


もうこの家にはいられないと思った。


もう限界だって言ったのは、そのこと…。


すずに全て話したかったけど。


話したらすずは、どうにかしようとして、絶対に行動してしまうだろう?


それがわかっていたから。


受験を控えているすずの邪魔はしちゃいけないって思って。


その日は、仕方なく電話を切ったんだ…。
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