凪とスウェル
ご、強引なヤツ…。


あたしは縁側でポカンと口を開けていた。


3時に集合って、あと40分しかないじゃん。


公民館ってどこにあるんだっけと思ったあたしは、おばあちゃんに行き方を聞いて、しぶしぶ自転車に乗った。


潮風を全身に受けながら、海岸沿いの道をひたすら自転車を漕いで行く。


今日は天気が良くて、遠くの島までくっきりと見渡せて綺麗だ。


15分ほどして公民館に着くと、八神の姿はなかった。


アイツ、呼び出しといてまだ来てないのか!


ふと海の方に目をやると、防波堤に腰掛ける八神の後ろ姿が目に入った。


あたしは自転車に乗ったまま、八神の近くに行った。


「おう、来たか」


気配であたしだとわかるのか、八神は前を見たまま言った。


「場所わかった?」


「おばあちゃんに聞いた」


八神は既に釣りをしていて、竿を手にしていた。


「ここ、釣れるの?」


「まぁねー」


あたしも八神の自転車の横に自分の自転車を停めて、防波堤へとよじ登った。
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