如月魔法学園 津瀬部!

「なっ!」

一瞬声を上げた優翔。
そして声を上げると同時に水圧を高めた。

結界を破ろうとしているのだろうが、葉月の強固な結界はこんなレベルでは破けない。


──パシッ

涼しげな顔をした、葉月の両手にボールが収まった。



ダンダン、とドリブルをしながらゴールへ近づいていく葉月。

シュートの体制を取ったところで、葉月の手──もとい、ボールを持った手が固まった。



────煌太の手によって。



煌太の使った魔法は、“氷”。

2014年に流行った、「ア○と雪の○王」で○ルサが使える魔法と原理は同じだ。

煌太の場合、得意な属性は“火”。

“火”と“氷”は真逆の属性なのだ。


─…つまり、氷を出すとなると、火属性の煌太は魔力の消費が激しくなる。

その為、煌太は周りの空気に含まれる水蒸気を、葉月の手元に集め、温度を操って手を固めた。というわけ。


……煌太。中々やるね。




「葉月っ!!」

葉月の名前を呼ぶと、彼女はこくりと頷いた。


「─……焔炎伏、急々如律令!!」

突如叫んだ彼女の目の前には「炎」と書かれた札が浮かんでいた。


札にふっ、と息をかけると、札は彼女の手を覆い尽くす氷にピタりと張り付いた。

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