やくたたずの恋
「あいつの実家の『影山興業』で借金をして、返済ができなくなった人たちの家族は、酷い目に遭うって有名なんだ。男性はマグロ漁船送りになったり、臓器を売るような羽目になるらしい。そしてね、若くて綺麗な女性は、特に可哀想なんだ。……彼女たちがどんな目に遭うのか、雛子ちゃんにも何となく分かるだろう?」
 可哀想。その言葉の裏に隠されている事実を悟り、雛子はこくんと頷く。
 そんな非道なことを、あの影山社長がやっていたとは。
 いつもにこやかで、肉体的にも精神的にも太っ腹なおじさん。そんなイメージの人なのに。
 だが、影山社長の目の奥には、確かに計り知れないものがありそうだった。
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