やくたたずの恋
「ほら、これがうちの息子の恭平だ。親が言うのも何だが、なかなか優秀な子でねぇ。しかもほら、男前だろ? 今の言葉で、何と言うんだったかなぁ? えーっと、イ……イケ……イケなんとかって、ほら!」
「イケメン、ですか?」
「そうそう! そのイケメンだろ?」
 そう言って、恭平の写真(しかも12年前の)を見せ、結婚の話を持ち込んだ時。影山社長は雛子を見て、笑っていたはずだった。しわしわになった肉まんのように、顔を緩めていたはずだ。だが、あの時の社長の目は、笑ってなどいなかった。
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