やくたたずの恋
「人生をこじらせてる人になんて、言われたくないです!」
「うるせぇ! お前の絶望的なBカップに比べれば、俺のこじらせなんて、ふんわりまるーいDカップレベルの可愛いもんだ! BカップのB子ちゃんが、生意気なこと言うな!」
「勝手にあだ名をつけないでください!」
「お前がBカップなのが悪いんだよ! 悔しかったら、さっさとCカップになるんだな!」
 子供の喧嘩かよ。そんな呆れた気持ちを込めて、デスクの傍で立っていた悦子が大きく息を吐き出す。
 二人は仲がいいのか、悪いのか。何にせよこの状況は、恭平にとっては悪いものではなさそうだ。悦子は手に持った書類に目を落とすフリをして、二人の様子を見る。
 勝ち気な子犬のように、キャンキャンと吠える雛子。その頭に恭平が手を伸ばし、毛並みを確かめるように撫で始めた。
「ま、それだけ元気なら大丈夫だな。今日は何もなかった、ってことだろうしな」
「え? 何のことですか?」
「今日の星野さんとの仕事は、特に何もなく、無難に終わったんだろ? 違うか?」
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