やくたたずの恋
父の「役立たず」という言葉で沈められた彼女は、海の底にいたのだ。なのに、恭平の魔法の言葉によって、絡みついていた重石が取れ、体が海面を目指して進んでいく。
久しぶりに見た、太陽の光。海面に顔を出した雛子は、そのあたたかさと眩しさに、涙を溢れさせた。
「……お、おい! どうしたんだよ!」
雛子の突然の涙に、恭平は焦りを隠せない。さっきまでの官能的な雰囲気を吹き飛ばし、すっかりおっさんの表情になっている。
「も、もしかして……やっぱりおっさんとこんなことするのは嫌だとか?」
「ち、違います! その……私は役立たずじゃないんだなぁ……って」
泣いてはいるが、雛子の心は決して傷ついても、苦しんでもいない。どうしても止められない涙を、恭平の肩に顔を寄せて流し続けた。
「誰かに愛してもらうって、こんなに幸せな気分になることなんだ……って分かったんです。そしたら、私は誰にも認められない、役立たずじゃないんだって思えて……」
父の役に立つことが、母のためにもなり、自分のためであると思っていた。それが「役立たず」から脱出する唯一の方法だと、疑っていなかった。
だけど、もっと別の方法もあったのだ。人を好きになって、相手からも愛情を返される。お互いを直に感じるだけで、心の器が幸せの雫で満たされ、彼のためだけに自分が存在していると思える。それで、十分だった。
久しぶりに見た、太陽の光。海面に顔を出した雛子は、そのあたたかさと眩しさに、涙を溢れさせた。
「……お、おい! どうしたんだよ!」
雛子の突然の涙に、恭平は焦りを隠せない。さっきまでの官能的な雰囲気を吹き飛ばし、すっかりおっさんの表情になっている。
「も、もしかして……やっぱりおっさんとこんなことするのは嫌だとか?」
「ち、違います! その……私は役立たずじゃないんだなぁ……って」
泣いてはいるが、雛子の心は決して傷ついても、苦しんでもいない。どうしても止められない涙を、恭平の肩に顔を寄せて流し続けた。
「誰かに愛してもらうって、こんなに幸せな気分になることなんだ……って分かったんです。そしたら、私は誰にも認められない、役立たずじゃないんだって思えて……」
父の役に立つことが、母のためにもなり、自分のためであると思っていた。それが「役立たず」から脱出する唯一の方法だと、疑っていなかった。
だけど、もっと別の方法もあったのだ。人を好きになって、相手からも愛情を返される。お互いを直に感じるだけで、心の器が幸せの雫で満たされ、彼のためだけに自分が存在していると思える。それで、十分だった。