やくたたずの恋
 どうしてお父様は、私を責めるのだろう。
 私が、女の子だから? お父様の望んだ、男の子じゃなかったからなの?
 幼い頃から、どんなに勉強や習い事をがんばっても、父は雛子を褒めることはなかった。褒めてほしくて、更に努力しても、父はいつも雛子を責め立てるだけだった。「どんなに努力しても、お前は女だ。俺の跡も継げない役立たずだ」と。
――何でもかんでも父親の言いなりなんて、さすがは政治家一家に育ったお嬢さんだ!――
 恭平に言われたことが、今になって更に強く雛子を切り裂いていく。
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