やくたたずの恋
「まったく、美津子もお前も、本当に役立たずだな!」
 役立たずなのは、本当はあなたでしょう?
 借金の始末を娘の結婚にたくすなど、役立たず以外の何物でもないじゃない!
 ずっと心にしまい続けている父への反論を、雛子は今日も口にすることはない。いつものように詫びるだけだ。
「私の努力が足りなくて、申し訳ありません。何とか、明日も恭平さんの所に行って、がんばって説得してみるつもりです」
「当たり前だ! 横田家の人間ならば、努力をすることをわざわざ口にするな! 分かったな!」
「……はい」
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