やくたたずの恋
 雛子は瞳を瞬かせて、堂々と宣言する。愛し愛されている実感から、これ以上ない自信を纏った今日の彼女は、恭平の目にはFカップに見える。
 うむ、素晴らしい。勝手な巨乳妄想を広げる恭平の耳元へと、雛子の唇がやって来た。
「……で、私はちゃんと、恭平さんの役に立ってますか?」
 上目遣いで囁く彼女の姿は、凶悪なほどに可愛らしい。持ち前の、春の妖精の雰囲気が花嫁姿によって強調され、セクシーさも加わっている。
 ウブなくせに、時々こんな風に人を惑わせる。小悪魔だ。いや、悪魔だ。いやいや、大魔王様だ。いやいやいや、それどころじゃない。おっさんを立派な若社長へと変えた、偉大なる魔法使いなのかも知れない。
「……ねぇ、答えてくださいよ! 私、恭平さんの役に立ってます?」
 恭平の袖を引っ張り、雛子は恭平の返事を待っていた。だが、そんなことを言葉で答えるのは野暮だ。
 その代わりに、と恭平は雛子の頬にキスをする。それを見ていたゲストたちは、二人をひやかすように、ヒュー、と声を上げた。それは、天使の祝福を表すラッパの音として二人を包み込み、緑の中を吹き抜けていった。


<了>
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