やくたたずの恋
 去年の段階では、父のコネで就職先は決まっていたのだ。就職すれば、精神的にも経済的にも、一人前の人間となれる――父からの自立を目指していた雛子は、そんな淡い希望を抱いていた。
 それが打ち崩されたのは、先月の三月に行われた、大学の卒業式直後のことだった。それは、恭平との結婚の話が持ち上がったためだ。父は雛子に就職をさせずに、恭平との結婚に集中させることを決めてしまったのだ。
 結局私は、お父様の言うがままの人生しか歩めないのかな?
 そんな絶望に似た気持ちが、今も雛子の腹の奥でぐるぐると渦巻いている。
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