ラヴィ~四神神葬~

3節

 ブワンッ。

 地上から風が噴き昇る。
 七本の気流の柱が卓也を取り囲んだ。
 身動きできない。

「《力》・・・?」
「最後の質問だね。答えてあげる。《力》の仕組みは理解している」
 空にかざした手の中で、太陽が乱反射した。
 半透明の物体が掌で光を散らし、キラキラ回る。

「万華石《カレード》」

 虹色に光り輝くプリズムを、真はこう呼んだ。

「記憶の結晶だよ。オレ達の前生・・・八百年前に成し遂げられなかった無念の想いの塊だ。オレ達は心に生まれ持った万華石(カレード)をコントロールして、《力》を使っている。制御が外れると覇妖のようになっちゃうけどね」
 真の万華石が回転する。
 七つの気流が激しく渦巻く。とぐろを巻く姿は大蛇のようだ。

「念のため言っておくけど、これはオレの本当の能力じゃない。今のお前を倒すのに、手の内を全部見せる必要はないからね。これは、オレの万華石のかけらを空気に呼応させただけ。でも。これだけで十分、お前の動きは封じられる」
 無機物を操る。
 高等術者にのみ可能な技だ。無理に気流の外に出ようとすれば、卓也の四肢は骨もろとも粉々に砕けるだろう。

 しかし、このままでは・・・
(息、が・・・)
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