ワガママ狼男と同居始めました。
「何……?」
「俺のこと呼んでみ?」
「小野寺くん。」
「ブーー!!」
「え……?」
小野寺くんはソファから立ち上がる。
「志木。」
「なっ、無理だよ!!」
「俺がお前のこと紅葉って呼んでんだからお前も呼べ。」
そんなこと言ったって……。
小野寺くんは学校と家で『藤間さん』と『紅葉』を使いこなしてるけど、私はきっといつかぼろが出る。
「やっぱ無理だよ……。」
小野寺くんは舌打ちをして、ソファにどかっと座る。
「じゃあ俺のこと志木って呼ぶまで四六時中お前を『紅葉』と呼ぶ。」
「そんなことしたら女子に超睨まれるじゃん!!」
「じゃあどーすんよ?」
「…………。」
「…………し……き……。」
「顔真っ赤。」
ケラケラと笑う志木を思いっきり叩いた。