今でもキミを。



この日は、入学式と学級の時間で
下校はお昼頃だった。



「美憂帰ろ!」
「うん!」



中学の頃と変わらず、私は沙希と下校。
一緒に帰るのが当たり前になっていた。



中学の頃は、夜遅くまで沙希と遊んで
よくお母さんに怒られていた。



沙希と喧嘩する事もあったけど
次の日には仲直りしていた。



何故か嫌いになれなかったんだよね。



「柚希くんとはどうよ?」
「ど、どうって?」
「ちゃんとアピールしてるかって!」



私は何も答えられなかった。



恋なのかもって思ったものの
行動には表せてなかった。



それに、どうアピールすればいいのかも
解らないし。



「まだ初日じゃん?」
「だからなに」
「いや…その…」



沙希に言い返せなくて
言葉を詰まらせていると、
隣から大きな溜息が聞こえた。



「ゆっくりでいいとは言ったけどね?」
「う、うん」
「そんなんじゃ取られちゃうよ」



自信に満ち溢れていても
きっと取られてますよ。



なんて、ココロで呟いた。



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