世界一幸せな国Ⅰ

笑って食べて飲んで



ラ「おっはよー!」


あれから毎日、誰かは必ず見舞いに来てくれていた。

しかし、みんな忙しいので、あれから全員揃うことはなかった。


だがしかし。


今日は違う。


今日は、私たちが退院する日だ。



みんな、私たちを迎えに来てくれたのだ。


「おはよう!みんな!」


ユ「おはよう!もう準備も手続きも出来たよ!」


ユアンは荷物を持って私の病室に来ていた。

少しでも早く帰る為に。



え?

なんで5歳2人だけで手続きが出来たかって?


みんな気づいているくせに。



そう、それ。

魔法。



変身?みたいなことをして、私たちは手続きを済ませたのだ。


まず、ユアンが魔法でお父様に化け、2人で私の手続き、次に、私が魔法でお母様に化け、同様にユアンの手続き。

大人になることなんて容易いものだった。


バ「あら。ダメじゃない。でも、まぁいいわ、帰りましょう」



お母様の言葉で動き出す一同。


みんなと話しながら廊下を歩いた。


お世話になったベルモンドや看護師に頭を下げた時、少し涙が出てしまった。



少しだけ寄り道をして、新しい服を仕立ててから家へと向かった。


我が家が待ち遠しい。
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