世界一幸せな国Ⅰ

スタミナが足りないので、私たちは普段は筋トレを中心に行った。


そして、週末に実践。




「もう同じことは繰り返さない」





皆の胸にある言葉だった。




勉強をしなければならないし、護身も習うし、魔法も……。


大変だけど、充実した日々を送っていた。





問題は仕事でなかなか習いに来れないお父様。


久々に来て、ヒィヒィ息をあげて、時が空くからまた来た時にヒィヒィして……。



家族の心配は、いつかお父様が倒れてしまうのではないかということだったのだが、その本人が



ア「俺も混ざりたい!!」




というのだから、仕方がない。


無理はしないことを条件に、参加した。



銃とかナイフの使い方を学んでもいいと思っていたのだが……


このタザラントリスには、銃刀法などという法律は存在しない。

だから、殺しでもしない限りいくら使っても裁かれることはない。


しかし、お父様は、最低限でしか使いたくはないようだ。


「人を撃ったり刺したりしたときの感覚は一生忘れられないから」

なのだそう。


その気持ちはよくわかった。


この世界の住人が、みんなお父様のような人だったらいいのに。


日本に比べて治安の悪い、私ですら平和主義者と言われるようなこの国で、そんなことを考えながら訓練を続けた。
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