世界一幸せな国Ⅰ




──討伐当日




「よしっ!出来た!」



目の前にいる自分を見る限り、初めてにしてはかなりいい出来だろう。



隣を見てみると、とても満足気な笑みを浮かべるユアンが2人いた。



「初めまして、ローナ。これから大変だと思うけど頑張ってね」



手を出すともう1人の私は手を重ねてきた。


どうやら実体は持っているようだ。



『よろしくね。いつも通りの生活を送ればいいんでしょ?大丈夫だよ!』



普通に会話もできてる。



これならバレないかな。





みんな、騙してごめんね。



「明日の10時まで私として動いてもらおうと思うんだ。だから、10時になったらユアンと一緒に中庭の1番大きなモミの木の下まで来てくれる?」



『分かった。明日の午前10時だね?庭で遊ぶって言って出てくるからしばらく経ってから家に入ってね』




「ありがとう」



どうやら、すごく優秀な分身ができたようだ。


前世でできてたら、私は確実に高校をサボっただろうな。





今宵、私達は初めて外へ討伐に行く。





世界最強と謳われるローナとユアン。







これからどんなことが待っているのだろうか。




弾む胸を押さえながら、デートの準備をした。





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