世界一幸せな国Ⅰ

2人だけの場所



15時。



私とユアンは、窓から抜け出した。


もう1人の私とユアンに 見送られながら。




私達は、手を繋いで街に出たが、無言。



デートなんて初めてだし、普段一緒に暮らしてるから、妙に緊張してしまう。




ユ「ね、ねぇ。……どこか行ってみたいところとか……ある?」



いつもと違う、緊張した声。


同じように緊張しているのに、話しかけてくれたことが、たまらなく嬉しかった。



デートしようって言ってきたのはユアンなのに、強くて可愛いしっかり者のユアンなのに。


私と同じで、こんなに緊張してたんだ。





「私は彼方と居られればどこでもいいけど……強いて言うならば、水族館かな?」



ユ「水族館?前世ではそんなところ全然行かなかったのに……珍しいね?」



「この世界の生き物、みてみたくない?」



ユ「……なるほど。確かにいいかもしれない!せっかくだし、歩いて行こうか」




案内所でもらったマップを見て、いろんな寄り道をしながら水族館へと向かった。



前世では考えられないほどのこの幸せに浸りながら穏やかに時は過ぎて行った。



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