世界一幸せな国Ⅰ
雪「俺は、藍乃や彼方を含め、お前らに出会えて幸せだった。

居場所や守るものができて、嬉しかった。


俺たちの総長と副総長を守れなかったことは、今でも悔やんでいるが、俺は魁桜を、誇りに思う。



そして、ずっと前を走りつづけて、今はもう見えないところにいる藍乃、彼方。

ずっと見守ってくれてありがとう。



今日のこの日を見てくれていると信じて、俺たちは前へ進もうと思う。


2人を失った悲しさは大きくて、心に空いた穴は、心がなくなるのではないかと思うほどの大きさだった。


でも、それを埋めてくれたのも、仲間や先代の先輩方だったよ。


まだ完全に埋まったわけではない、けど、前向きになれた。





最後に幹部を含めて全員に!!



今まで本当にありがとうございました!!!!



幹部代表、総長代理、柏木雪斗」




……居るよ、雪斗。


私たち、ちゃんと見てるよ。




ありがとう、魁桜を引っ張ってくれて。


ありがとう、私の居場所を作ってくれて。


ありがとう、私の居場所を守ってくれて。




「……うっ……くぅっ……」




私の頬から温かい水が流れて、止まらなくなった。



ポタッ、ポタッ……。


溢れて、溢れて……。




でも、実体を持たない私の涙は、スゥッとどこかに消えていった。





「みん……っな、ほ……んとっに、あり……がっと……。……勝手なこと……って……ご……めんっな…さい……」





5年経って、前とは少し違う後悔をしている気がした。



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