世界一幸せな国Ⅰ






そこでハッとした。





私は言ってはいけないことを、言ってしまった。




彼「言ったじゃん!さみしいのはみんな一緒なんだよ?!普通はこうして会うことだって出来ないんだから、ちゃんとお別れ言えてよかったって思えないの?!」




顔を上げて周りを見渡すと、みんな、泣きそうに顔を歪めている。




彼「みんな、俺らを送り出すために我慢してくれてるんだよ?!それすら分からないの?!あれだけ一緒に居たんだから寂しくないわけないでしょ?!!」




彼方にそこまで言わせてしまった私は、馬鹿だと思った。


笑顔で送り出そうとしてくれているのだから、私たちは、笑顔でお別れを言うべきだ。




「……ごめんなさい。みんな、今日は会えてよかった。ありがとう。大好き。愛してる。私のことを、たまには思い出してね」



彼「突然消えたこと、すごく後悔したから、もう一度ちゃんと会えて嬉しかった。みんな今までありがとう。さようなら、お元気で」




みんなで抱き合おうとしたけど、もう透け始めている体は実体を持っていなかった。
< 209 / 256 >

この作品をシェア

pagetop