世界一幸せな国Ⅰ
一家団欒を、のんびりと過ごしていたこの日の昼ごろ。

先日の話を持ち出したのは、編み物をしているバーバラの上に座るローナだった。


「ねえねえ。おとうしゃま、おかあしゃま!」


屈託のない笑顔で話しかける彼女に、家族の顔もほころぶ。


バ「なあに?」


「わたし、まほうのおべんきょうがしたいの」



これが、先日思いついたことであった。





しかしその笑顔は、彼女の発言によって空気とともに固まった。



バ「……え?」


メ「ろ……ローナ?」



やっぱりだめだったかしら?そう思いながらも彼女は続ける。


「わたし、りっぱなまほうつかいになるってきめてゆの。だかりゃ、おべんきょうすゆの」


家族を説得するべくまだまだ回りが悪い舌を使って話し続けるローナであったが、家族の許しは得られそうにない。


レ「お前の意思は立派だと思うが、やはり認めがたいことだな」


「わたしのマナがつよいからでしょ?つよかったらぼうしょうしちゃうんでしょ?でも、だいじょうぶだよ。このまえ、しなかったもの」


レ「このまえ?」


< 91 / 256 >

この作品をシェア

pagetop