好きのおもさ
そう言って私は重そうに体を立ち上げた。
「はぁ…もうちょっと俺に頼ってくれていいのによ」
「ん?何?」
まだ立ち上がってない宇川くんは、川を見ながらぼそぼそと呟いていた。
それが聞こえずに聞き返してみる。
だけど答えてくれなかった。
「お前のことが心配だから、俺送ってく」
「うん…ありがとう」
ここで拒否しないのは、一歩前進したことだ。
今までだったら、当たり前に拒んでた。
でも今は彼が傍にいてもいいかなって…なんとなく思ったから、拒まなかったんだ。
帰り道、私たちはろくに話さなかった。
私は、自分から声をかけることができなかったのだ。
過去を話してる時に、宇川くんの目にも少しだけど涙が溜まってたから。
彼なりに心が動いたんだなって思うと、話しかけづらく感じる。
二人で涙する話を、まだこのタイミングで言わなくてもいいんじゃないかと思う。
「じゃあね。
文化祭の準備、頑張ってね」
家に帰り着いた私は宇川くんにそう言って、ドアノブに鍵を差し込んだ。