星屑ビーナス



「…、」



そうしていると、不意に目に入るひとつの姿。

少し離れた距離にいるスーツを来たその人間は、足を止め少し驚いた顔でこちらをじっと見つめている。



「…?」



眼鏡をかけた、遠くからでも背が高いのがわかる同じ歳くらいの男。



…あんな知り合いいたか?

いや記憶にないな…そう考えながら首を捻ると、よくよく見ればその視線は俺ではなくその隣…奥谷へと向いていることに気付く。



「奥谷、あれ知り合いか?」

「へ?誰ですか?」

「あの、あそこのスーツの…」

「スーツ?、…!」



肩を小突き尋ねると、茶色い瞳は俺の示す方向へ向いた。

最初は先程の俺同様にわからなそうにしていたものの、次第にしっかりとその姿を捉え驚きに変わる。


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