星屑ビーナス
(…飲みすぎた)
昨夜の残業中、いきなり奥谷から電話がきてしかも泣いていたのには驚いた。何事かと本気で心配した。
けれど実際顔を見れば、それはとてもすっきりとした顔をしていて。
『やり直せないって言ってやりました』
『全部、真崎さんのおかげですから』
その言葉に、安心して嬉しかった自分がいる。
だが本当に朝まで男の話をされるとは…。
出会ったきっかけ、付き合った日のこと、よかったこと悪かったこと。
聞けば聞くほど彼女を知ることが出来る嬉しさと、その頭を占めていた思い出の多さに対する複雑な気持ちにもみくちゃにされて、それを誤魔化すように次から次へと酒をあおった。
(それに付き合って奥谷もガンガン飲んでたが…大丈夫か?)
徐々にはっきりしていく思考に、そういえばと隣を見る。
ところが、ベッドの上には自分一人。部屋の中はおろか、家の中にすら自分以外の人の気配はない。