星屑ビーナス
ーバタン、
音を立て閉じるドアに、その場に残されたのは自分ひとり。
…何も、言えなかった
そんなことないとも、信じられるとも
だって惑った
自分は彼を、誰かを、100パーセント信じられる?
ううん、無理
だって怖い
何を考えても不安ばかりが込み上げる
もし、気持ちを伝えて拒まれたら?
ただの同情だよって、線を引かれてしまったら?
上手くいったとしても、度々彼を疑ってしまうかもしれない
こんな私は、嫌われてしまうかもしれない
結局臆病なままの私は、伝える勇気すらもない。
あんなに沢山の言葉をくれた、そんな彼のことすら信じられないなんて、こんな私に好きなんて言う資格ないよ。
「…、…」
途端に瞳からはポロポロとこぼれ出す涙。
「知香、コピー終わった…ってどうしたの!?」
「かおり…」
するとまた開けられたドアから姿を見せたのは遅いと急かしにきたらしいかおり。その顔はこちらを見てぎょっとする。
「どうしよう…もう、どうしたらいいかわかんない…」
「どうしたのよいきなり…ちょっと落ち着いて」
「っ…」
顔を見ては余計泣き出す私に、かおりは背中をさすりなだめる。
「知香、とりあえずここ出ましょ?ほら、書類まとめて」
「うん…」
そしてコピーを終えた書類を手際良くまとめ、私を連れ資料室を出た。