星屑ビーナス



一度書類をオフィスへ置いて、電気を消し戸締りをし、その足でかおりに連れられるがままやってきたのは、いつぞやに真崎さんと話をした会社の屋上。

誰一人いないその屋上には、ビュウッと冷たい夜風が吹く。



「さっ、寒!!」



その寒さに思わず涙も止まり、声をあげた。



「寒いほうが頭スッキリするでしょ」

「そうだけど…」

「それで、何があったの?」

「……」



黒く長い髪が風になびく。いつもはツンとした言い方のかおりの、優しく問うその声にふたたび涙が込み上げた。



「…っ…かおり〜…」

「よしよし。全部話してみなさい」

「うぅ〜…」



そして私は泣きながら、途切れ途切れに先ほどのことを全て話した。



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