星屑ビーナス



ー…



「男なんて、みんなそんなものですよ」

「…そう、ですかねぇ」



翌日の昼休み。会社の社員食堂でコーヒー片手に席につく私とかおりの向かいには、にこにこと笑う可愛い姿…三村さんの姿があった。



店長会議があり本社まで来ていた三村さんと丁度行きあった私たちは、折角だからと軽くお茶をしにやってきたのだった。

ほのかに紅茶のいい香りが漂うカップを持つその左手薬指には、小さく光る銀色の指輪。



「うちの旦那もそうでしたよ。『仕事が忙しい』とか『結婚式は女が主役だから好きにやっていい』とか言って」

「けどそれって何か違うじゃないですか…」

「けど仕方ないんじゃない?真崎さんが忙しいのは事実だし」

「それは分かってるんだけどさぁ!でもさぁ!」



コーヒーを飲みながら拗ねるように口を尖らせる私に、隣のかおりは相変わらず冷ややかな目で見る。そんな光景に向かいの三村さんは愛らしい瞳を細めて微笑んだ。



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