星屑ビーナス
「いつもアイシャドーは何色使ってる?」
「ブラウン系かブルー、パープル…」
「また冷たい系の色ばっかり使ってるのな」
「それしか持ってないですもん」
「ならこんな色は初めてだろうな」
そう彼が取り出したのは、ピンクベージュのアイシャドー。
華やかなその色を瞼全体にのせ、ブラウンを黒目の上部分が山頂になる形で塗ると、そのまま目尻にも少しブラウンを使いマスカラでまた黒目の辺りを重点的に塗っていく。
「黒目が大きく感じられると自然と可愛く見えるからな。ここを中心に色をつける」
「……」
自分では選ばないような色で顔全体が彩られ、いつも使っている色も使い方を変えるだけでまるで別の効果を見せる。
その指先ひとつが、全てを変えてしまう。