星屑ビーナス
そうして仕事に追われながら毎日を過ごして2年ほどが経った頃、そのうち知香には彼氏が出来た。
『背が高くていい企業に勤めてる…なんて、そんな男どこで捕まえたの?』
『前に駅でぶつかって、定期落としちゃったことがあってね。向こうが拾って持っててくれて、それがきっかけで…みたいな』
『あら、ドラマみたいねぇ』
『でしょ?私も、絶対運命だと思う』
相変わらず笑顔は明るかったけれど、彼の話をする時の表情はまた少し違う。照れたような、可愛い笑み。
彼氏の圭介、と紹介された相手は本当に背が高くて優しそう、だけど頼りなさそうな印象も受けた。
でも知香が幸せそうに笑うから、その幸せを見守ろうと思った。
『プロポーズ、されたんだ』
けれどそれから間も無くして、その日はやってきた。