恋の相手はお隣さん。


***



「はぁー……」
「ため息なんて吐いてどーしたよ」
「蒼汰……」

大学の食堂で盛大なため息を漏らした私に話しかけてきたのは、友達の赤井蒼汰(あかいそうた)。小学校から一緒にいるふたりの幼なじみのうちのひとりだ。

「なぁーんだよ? また隣の男のことか?」
「そんなところ、かな……」

なぜか蒼汰はいつも、響の話を聞きたがる。そのくせ最後には必ず、「やめとけ」って言う友達がいのないヤツだったりする。

「だから言ったろーが。やめとけって。アレは見るからにタチ悪そうじゃねーかよ」
「……そんなことないし」

今日もいつも通り忠告してくる蒼汰。でも今の私には、結構痛い言葉だ。

「遊ばれてるだけだろー? どうせ」
「響に遊ばれるなら、いいもん」

でも、まるっきり対象外だから、遊んですらもらえない。キスはただのお駄賃。特別に思っているのは私だけで、いつだって子ども扱いから抜け出せない。
きっと響にとって私は、妹みたいなポジションなのだ。それは、嫌ってほど自覚してる。


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