恋の相手はお隣さん。
蒼汰は舌打ちすると、「ばーか」と言って私の頭を小突いた。
「簡単に遊ばれるんじゃねーぞ」
珍しく真剣な顔をして忠告されて、少しだけビックリした。こういう顔すると、男の子なんだなぁ、と思う。
「ふーんだ。蒼汰こそ、人を気にするよりも、自分の彼女大事にすれば?」
「言われなくても大事にするっつーの。隣の男と違ってな」
「響は……」
「あーハイハイ。“懐に入れば大事にしてくれる”だろ」
聞き飽きたと言わんばかりの蒼汰を睨んでみせる。
きっと、他の人にはわからない。響のキスが、手のひらが、どれだけ優しく私に触れるのか。
どんなに冷たい態度を取られても、完全に拒絶されたことはない。それだけが、私が知っている響のすべてで、心の拠りどころだ。
「まったく。いつになったら懐に入れるんだか」
「……だから、いま頑張ってるんだもん」
「ま……話聞く限りは無理っぽいけど」
「無理じゃないし!」
ため息交じりに言われてムッとすると、蒼汰は軽く笑った。
「泣かされんなよ。慰めてやらねーからな」