恋の相手はお隣さん。
「いらないし、泣かないもん」
「どーだか。お前は昔から、ひとつのことにのめり込むから、危なっかしいんだよ」
「そんなに私に優しくすると、絵美ちゃんが妬くよー?」
お礼の代わりに冗談を返したら、「ばーか」って、また小突かれる。
蒼汰がもうひとりの幼なじみ、武田絵美(たけだえみ)ちゃんと付き合い始めたのは、私たちがまだ高校生だった時。
大切な友達ふたりが付き合うことになって、嬉しい半面、なんだかお邪魔虫のような気になって寂しさもあった。だけどふたりとも、付き合う前と同じように私と接してくれるし、ふたりからお互いの相談をされたりしている。そのうちに、寂しいどころか前よりもずっと親しくなっていた。
私が響のことで悩んでいる時、ふたりは必ず相談に乗ってくれる。でも蒼汰の場合、口が悪いのが玉に瑕だけど。
「別にさ、紗英がいーなら構わねーけど。お前免疫ねーからなぁ。そのくせ猪みたいに突っ込んでくから見てて怖ぇよ」
「ちょっと! 猪って酷くない?」
蒼汰は笑いながら席を立とうとして、もう一度私に向き直った。
「今度直に隣の男に会わせろよ。見定めてやるし」