恋の相手はお隣さん。
ぎこちない動きに苛立つかのように、逃れようとしても、すぐに舌先が追ってきて囚われる。
こんな風にに扱われた経験は、今までなかった。
いきなり、どうして? 響は今、どんな気持ちで、どんな表情で私に触れてるんだろう。
閉じていた瞳を薄く開くと、潤んだ視界に響が映った。
でもその表情は、キスを愉しんでもいなければ、いつもの皮肉っぽく笑う響でもない。
なんの感情もない冷たい目、だった。
「……やっ!」
瞬間的に突き飛ばすと、同時に涙が零れた。まるで私とのキスは義務なんだとでも言いたげに冷めた響の顔が、涙で滲んだ視界の中で揺れている
「そんな目で見ちゃやだ……っ! なんで……怒ってるの……?」
響は私の言葉に答えないまま、煙草に火をつけた。そして深く吸い込み、ため息のように紫煙を吐き出す。
「駄賃はやったろ? 交換条件は不成立だ」