恋の相手はお隣さん。
「……本当にわかりやすいな」
「響……?」
バランスを崩して響の胸に倒れ込むと、そのまま身体ごと包み込まれた。
「悪かった。泣かすつもりはなかった」
規則正しい心音と温もりは、私の知っている響のもので。ホッとしたら、強張っていた身体から力が抜けた。
「響がいつもと全然違って……怖かった……」
「だろうな。泣かすまで追い込むつもりもなかったけど」
「どういうこと……?」
胸に埋めた顔を上げると、間近にはいつものように、皮肉めいた笑みを浮かべた響の顔があった。
「交換条件なんて、十年早いってことだよ」
「なに、それ……っ、意味、わかんな……」
「言葉通りの意味だろ」
響は態勢を入れ替えて私を床に横たえた。そしてどこか不機嫌そうに目を眇める。
「お前、キスするよりも、俺を男に会わせる方がよかったのか?」