恋の相手はお隣さん。
「違わねーだろ? ……見てらんねーんだよ! もう遠慮しねーからな。あんたには、紗英は渡さない。……行くぞ紗英」
蒼汰はおもむろに私の肩に腕を回し、響に背を向けて歩き出した。蒼汰の腕に抱かれたまま、怖くて後ろを振り返ることができない。
「――言い逃げか? ったく……ガキが」
低く、ため息交じりに吐かれた声に、ギクリと身体が強張った。
反射的に振り返った蒼汰につられて後ろを見る。響はドアに凭れるように背を預けながら、苛立ちが滲んだ瞳で私を見据えていた。
「なんだよあんた……! ガキで悪かっ……」
「煩いんだよ。ガキの出る幕じゃない」
「なっ……!」
挑発的な響のセリフに、蒼汰が私から離れて響に詰め寄っていく。
「蒼汰、やめ……っ」
今度こそ殴りかかろうとした蒼汰を見て、慌てて駆け寄ろうとする。けれども次の瞬間、響は襟首に伸びてきた蒼汰の手をスルリとかわすと、一歩踏みだして私の腕を引き寄せた。
「ひび……き?」