恋の相手はお隣さん。


***


隣に響が越してきたのは、今から約四半年前。私が高校に入学したばかりの頃だった。
うちに挨拶に来てくれた響を見た瞬間、頬が真っ赤に染まったのを覚えてる。
それまで男の人といえば、お父さんさんかクラスの男子くらいしか知らなかったけれど、目の前の人にはその誰にも感じたことがないくらい鼓動が踊った。でもそれは恋と呼ぶには幼い感情で、最初のうちは憧れている気持ちが強かったと思う。

『響っていい名前だよね。私、これから響って呼ぶ!』

出会ってから二年目、私が十七歳の時。おすそ分けを持っていくようになってしばらく経った頃、思い切って言ってみた。

『だから私も紗英って呼んで? ね、響!』
『……何を勝手に決めてるんだか』

マルボロを片手に呆れたようにため息を吐いた響は、でも私が呼び捨てにしても何も言わなかった。それが特別なことみたいで嬉しくて、名前を呼ぶたびに近づける気がしてた。
それから約一年後。私が高校を卒業して、大学に入学した年、響と私の間に変化が訪れた。


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